オリンピックに出場するマラソン選手は『MGC』で決めてます。
選抜方法はどのようなものなのか詳しく説明しますね!
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公正な選手選考のために『MGC』を開催
今までの選抜方法は、指定された3つの大会で上位入賞するか、世界陸上で好成績を納めるかで選ばれていました。しかし、万人に納得のいく選考が今までに行われたことはありません。
選考基準がとても曖昧だからです。
東京オリンピックではそのような状況をなくすため『MGC』(マラソングランドチャンピオンシップ)が行われることになりました。
MGCの開催は2019年9月以降の予定。東京オリンピックに出場する選手の決定戦といえるでしょう。
MGC参加条件は、国内主要大会でそれぞれ設定されたタイムをクリアして、日本人3位以内という成績を残す選手。または、国際陸連公認大会などで好成績を挙げた選手のみ。
MGCの結果によって、男女2名ずつの計4人が、東京オリンピックの出場権を獲得することになります。そして、2019年冬〜2020年春開催予定のマラソングランドチャンピオンシップファイナルチャレンジで、男女1名ずつが決定されることに。
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本当に強い選手を選ぶことが可能に
MGCのレースに勝たなければ、いい記録を持っていても東京オリンピックには出場できません。これなら納得できますね。
他の大会で好成績を残しつつ、最終勝負がMGC。
MGCが開催される前は、決めるには定かではない天候やレース展開というあやふやな状況も考慮されてきました。かつては「暑い天候でのレースに強い」「レースが積極的だった」などの曖昧な理由で選考されることがありました。
1回のレースで記録のよかった選手が、いきなりオリンピックに出場したケースも。
MGCを開催することで最低2回の好記録を残さなければ、オリンピックには出場できなくなりました。1回のいい記録だけではなく、結果の安定さもあるほうがより強い選手だからです。
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選手の経験値と調整力が確実にアップ
MGCを行うことで、経験値を上げられるというメリットがあります。
強豪選手ばかりを相手に競争するので、いい経験になります。レベルが高い選手が周りに多くいる環境は、タイムアップにも繋がるのです。
経験値が高いほど緊張も抑えられたり、走り方の工夫もできるようになります。場慣れした選手は、リラックスしていい記録を出せるでしょう。
調整力も身につくというメリットもあります。
選手それぞれが当日に最高のレースをするために、コンディションを整えていきますよね。
調整の仕方がわかれば、その他の細かいことまで目が行き届くことも可能になります。自分が苦手なことや、改善策なども考える余裕が生まれるからです。
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消極的なレース展開になる危険性も!?
ただしMGCは決して万能な選考方法とはいえません。
MGCでは相手に勝つことだけに力を注ぐる選手が増えると予想され、そのためスピードレースにならない可能性が高まるからです。
オリンピックでは序盤で海外のトップ選手に後れをとれば、挽回は困難。MGCの勝者がスピードがない選手ならば、海外選手についていけなくなり、早い段階でレースが終了することも考えられます。
今までの選考方式ならば、選手なら誰もが出場資格獲得のために単に勝つだけでなく1分1秒を削り出すレースを行っていたものですが……。オリンピックで勝つためにも、積極的なレースを心がけてもらいたいですね。
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世界記録保持者でも選ばれないことが
もっとも懸念されることは、速いランナーであっても、MGCまたはその後のファイナルチャレンジで、アクシデントで勝てなかった場合です。
確かにしっかり調整できない選手が悪いといえます。でも、世界記録保持者で、いつもの実力が発揮できたらメダル確実という選手だとしたらどうでしょうか。
後になって、あの選手を出していればという不満は出てくるはず。
今までならそういう選手を、ゴリ押しでオリンピックに出場させることができました。しかし、出場のルールを厳格化した以上、世界記録保持者であっても東京五輪に出場はできません。
このようなデメリットも受け入れる必要があるのです。
いかがでしたか?
東京オリンピックのマラソン出場者は『MGC』で決まります。
メリットだけではありませんが、日本人選手がメダルを獲得する姿を見れるよう強いランナーが選出されることを楽しみにしましょう!